英国競馬を締めくくるQIPCOチャンピオンズデーが19日(土)にアスコット競馬場で開催されます。
この日は長距離のG2チャンピオンズ・ロングディスタンスC(芝3200メートル)を皮切りに、トップスプリンターがそろうG1チャンピオンズ・スプリントS(芝1200メートル)、牝馬限定のG1チャンピオンズ・フィリーズ&メアズS(芝2400メートル)、マイル王決定戦のG1クイーンエリザベス2世S(芝1600メートル)、そして欧州の中距離王を決めるG1英チャンピオンS(芝2000メートル)まで5つの重賞が行われ、さながら今シーズンの英国競馬の千秋楽といった趣きです。
ファンの熱視線を集めるのはエコノミクス(牡3、父ナイトオブサンダー、W・ハガス厩舎)と、フランスから参戦するカランダガン(セン3、父グレンイーグルス、FH・グラファール厩舎)の初対決が実現する英チャンピオンSです。
G1愛チャンピオンSの勝ち馬エコノミクスは今年4戦全勝。ハガス調教師はゆったりとしたローテーションを組んで、(2400メートル戦の)凱旋門賞には目もくれず、ここ一本に照準を合わせました。一方のカランダガンは英インターナショナルSでシティオブトロイの2着に敗れはしましたが、決め手比べでは引けをとりません。
エコノミクスがここを勝てば、愛、英のチャンピオンSの同一年優勝は史上7頭目(19年のマジカル、16年のアルマンゾール、08年ニューアプローチ、97年ピルサドスキー、88年インディアンスキマー、87年トリプティク)の快挙となります。凱旋門賞組からは3着のロスアンゼルス(牡3、父キャメロット、A・オブライエン厩舎)と、不利あって競馬にならなかったコンティニュアス(牡4、父ハーツクライ、A・オブライエン厩舎)が巻き返しに挑みます。
長距離のロングディスタンスCは前走のG1カドラン賞(パリロンシャン、芝4000メートル)まで今シーズン6戦全勝(うちG1・4勝)のキプリオス(牡6、父ガリレオ、A・オブライエン厩舎)が単勝2倍台の大本命で出走します。ライアン・ムーア騎手との息もぴったりで、前走は逃げ切ってみせました。相手は昨年のロングディスタンスCでキプリオスを首差押さえて優勝したトローラーマン(牡6、父ゴールデンホーン、J&T・ゴスデン厩舎)。今年はこれが3戦目で、フレッシュな状態で臨めそうです。
スプリントSは上位拮抗。1番人気は一昨年優勝、昨年2着のキンロス(セン7、父キングマン、R・ベケット厩舎)で、今シーズン4戦3勝で前走ヘイドック競馬場のG1スプリントC(芝1200メートル)でG1初制覇を飾ったモンタッシブ(セン6、父イクシードアンドエクセル、W・ハガス厩舎)が差のない2番人気になっています。7月のG1ジュライC(芝1200メートル)に勝ったミルストリーム(牡4、父グレンイーグルス、J・チャップルハイアム厩舎)や5月のG1ロッキンジS(芝1600メートル)の勝ち馬で、距離を短縮してここに臨むオーディエンス(セン5、父イフラージ、J&T・ゴスデン厩舎)の走りにも注目が集まっています。
牝馬戦線を締めくくるフィリーズ&メアズSは上がり馬のカルパナ(牝3、父スタディオブマン、A・ボールディング厩舎)が人気を集めています。今年1月にデビューして、ここまで7戦4勝、2着2回。7月のリステッド競走(ハミルトン、芝2200メートル)を4馬身半差で制すと、9月のG3セプテンバーS(ケンプトン、AW2400メートル)は後続に4馬身4分の3差をつけて初重賞を飾りました。今年4戦3勝、2着1回と好調なティファニー(牝4、父ファー、M・プレスコット厩舎)、8月のG1ヨークシャーオークス(芝2400メートル)勝ち馬のコンテント(牝3、父ガリレオ、A・オブライエン厩舎)、それに凱旋門賞前日に行われたG1ロワイヤリュー賞(芝2800メートル)優勝から挑むグレートフル(牝3、父スタディオブマン、A・ボールディング厩舎)など伏兵陣も多彩です。
マイルのクイーンエリザベス2世Sは今シーズン6戦して4勝、2着2回と安定した成績を残すチャリン(牡4、父ダークエンジェル、R・ヴァリアン厩舎)が中心。5月以降はマイルのG1を4連戦して6月のクイーンアンS(芝1600メートル)と8月のジャックルマロワ賞(芝1600メートル)に優勝、前走のムーランドロンシャン賞は重馬場に決め手をそがれて2着でしたが、その末脚は高いレベルで安定しています。対抗は前走のG1サンチャリオットS(芝1600メートル)から中1週で臨むタムファナ(牝3、父ソルジャーホロウ、D・メニュジエール厩舎)。春のG1ドバイターフ(芝1800メートル)に勝ったファクトゥールシュヴァル(セン5、父リヴチェスター、J・レニエ厩舎)の巻き返しも…。
(ターフライター奥野庸介)
※競走成績などは2024年10月18日現在
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